グローバルミニマム税(Pillar 2)対応の追加告示を公表
従業員報酬および有形資産価額の算定方法を明確化
タイ歳入局は、OECDが主導するグローバルミニマム税(Pillar 2)に対応する国内制度であるTop-up Tax(追加税)について、従業員報酬および有形資産価額の算定方法を定めた歳入局長告示(第4号)を公表した。
本告示は、GloBEルールに基づくTop-up Tax計算において重要となるSubstance-based Income Exclusion(実体基準控除)の算定に直接影響するものであり、多国籍企業(MNE)グループにとって実務上の重要性が高い。
1. 従業員報酬の取扱い
Top-up Tax計算における「従業員報酬」は、原則としてグループの連結財務諸表に計上された人件費を基礎として算定される。
算入対象
- 給与、賃金
- 賞与
- 社会保険料
- 雇用主が負担する税金・負担金等
対象となる人員
- 正社員
- パートタイム従業員
- 独立請負人(Individual contractors)
算入範囲の制限
- タイ国内で実際に勤務した分のみを算入
- 以下に該当する部分は除外
- 固定資産として資産計上された人件費
- 特定の海運所得に関連する人件費
2. 有形資産の取扱い
有形資産については、連結財務諸表上の帳簿価額(減価償却後)を基準として算定する。
対象資産
- 土地
- 建物
- 機械・設備
- 天然資源
- 使用権資産(Right-of-use assets)
会計基準
- IFRS または Thai GAAP に基づく連結財務諸表の数値を使用
リース資産
- リース取引については、会計基準に沿った特例的な取扱いを規定
- 使用権資産の認識・評価方法がTop-up Tax計算に反映される点に留意が必要
3. Flow-through Entity(透明性法人)の取扱い
LLP等のパススルー(透明性)法人についても、本告示で詳細な取扱いが定められている。
- 所得・従業員・有形資産をどの国に帰属させるかを明確化
- GloBEルール上の帰属判定に基づき、Top-up Tax計算に反映
多国籍グループ内でパススルー法人を利用している場合、税務ポジションへの影響が大きくなる可能性がある。
4. 適用開始時期
本告示は、2025年1月1日以降に開始する会計年度から適用される。
5. 実務上の影響と留意点
本告示は、タイにおけるPillar 2対応を具体化するものであり、特に以下の実務に影響を及ぼす。
- タイ法人の GloBE所得計算
- Substance-based Income Exclusion(人件費控除・資産控除) の算定
- リース資産の会計処理と税務上の反映
- パススルー法人の帰属国判定
Top-up Taxの計算は極めて複雑であり、多国籍企業グループ向けの高度な専門ルールとなっている。 今後、タイ子会社を有するMNEグループは、連結ベースでのデータ整備や会計・税務の連携を一層強化する必要がある。