タイ法人設立
タイの外国人事業法

外国人事業法とは、一言で言うと特定の事業における外国企業の参入を規制する法律です。外国企業とは外国資本比率が過半の企業のことを指します。逆にタイ資本が過半の場合はタイ企業(タイ法人)となり、外国人事業法の規制を受けることは原則的にありません。御社がタイで展開したい事業が外国人事業法の規制対象である場合、外国資本が過半での参入は不可能となります。ただしBOI(タイ投資奨励制度)という例外もあります。
土地所有制限
原則として、外国人(法人も含む)は土地を取得できません。ただし、BOI奨励企業や、タイ工業団地公社(IEAT)認定の工業団地に立地する企業の場合、外資比率にかかわらず土地取得が可能な場合もあります。
規制業種・禁止業種の一覧
第1表(9業種)外国企業の参入が禁止されている業種
- 新聞発行・ラジオ・テレビ放送事業
- 農業・果樹園
- 畜産
- 林業・木材加工(天然)
- 漁業(タイ海域・経済水域内)
- タイ薬草の抽出
- 骨董品(売買・競売)
- 仏像および僧鉢の製造・鋳造
- 土地取引
第2表(13業種)国家安全保障または文化、伝統、地場工芸、天然資源・環境に影響を及ぼす業種として、外国企業の参入が禁止されている業種(ただし、内閣の承認により、商務大臣が許可した場合は可能)
- 製造・販売・補修(銃・銃弾・火薬・爆発物およびそれらの部品、武器および戦闘用船・飛行機・車両、すべての戦争用備品・部品)
- 国内陸上・海上・航空運輸および国内航空事業
- 骨董品・民芸品販売
- 木彫品製造
- 養蚕・絹糸・絹織布・絹織物捺染
- タイ楽器製造
- 金銀製品・ニエロ細工・黒金象眼・漆器製造
- タイ文化・美術に属する食器製造
- サトウキビからの精糖
- 塩田・塩土での製塩
- 岩塩からの製塩
- 爆破・砕石を含む鉱業
- 家具および調度品の木材加工
第3表(21業種)外国人に対して競争力が不十分な業種であるとして、外国企業の参入が禁止されている業種(ただし、外国人事業委員会の承認により、商務省事業開発局長が許可した場合は可能)
- 精米・製粉
- 漁業(養殖)
- 植林
- ベニア板・チップボード・ハードボード製造
- 石灰製造
- 会計サービス
- 法律サービス
- 建築設計サービス
- エンジニアリングサービス
- 建設業(ただし、外国人投資が5億バーツ以上で、特殊な技能を要する建設(インフラ、通信など)、その他の省令で規定された建設業を除く)
- 代理・仲介業(ただし、証券・農産物の先物取引、金融商品売買に関するサービス、同一グループ内の生産に必要な財取引、外国人資本1億バーツ以上の国際貿易仲介、その他省令で規定された代理・仲介業を除く)
- 競売(骨董品・美術品以外の国際間競売、その他省令で定める競売)
- 伝統的な国内農産物または法令で禁止されていない農産物の国内取引(ただし、農産物の先物取引を除く)
- 最低資本金1億バーツ未満または1店舗あたり最低資本金2,000万バーツ未満の小売業
- 1店舗あたり最低資本金1億バーツ未満の卸売業
- 広告業
- ホテル業(ただし、マネージメントを除く)
- 観光業
- 飲食物販売
- 植物の繁殖・品種改良
- その他サービス業(証券業、銀行業、保険業、国家機関または政府機関に対するサービス提供、駐在員事務所、出張所、過半数の株主もしくは取締役が同一人物である関連会社または25%以上の株式数を有する関連会社への国内融資もしくは事務所賃貸または管理、マーケティング、人事および通信技術に関する助言サービスの提供等の省令で定めるものを除く)
一般的な進出形態における基本条件と手続き
前述の通り、一般的な進出形態としては外国資本が半分未満、タイ資本が過半で法人を設立する場合がほとんどです。そうする理由は外国人事業法の規制を回避することで希望する事業が展開できるからですが、タイ現地に日本人駐在員を派遣したり、現地採用として日本人を雇用する場合には条件が発生します。以下にその条件と手続きを説明します。
基本条件
日本人1名の雇用につき、資本金200万バーツ以上の登記+タイ人従業員4名以上の雇用が必要です。日本人従業員が3名なら600万バーツ以上の資本金登記が必要です。(資本金500万バーツ以上は資本金の払い込み証明も必要)
基本手続き
日本人がタイで就労するためには就労ビザと労働許可証の申請取得が必要です。そして就労ビザと労働許可証を取得するためには、上記の基本条件をクリアする必要があります。タイ人従業員は雇用するだけではなく、3ヶ月以上そのタイ人を雇用していることを証明するために、3ヶ月分の個人所得税と社会保険料の納付証明が必要です。
タイ現地法人の設立に必要な情報
タイ法人の設立登記には少なくとも下記の情報や書類を準備しておく必要がございます。決めるのが難しい項目がある場合は弊社にご相談ください。

- 英文の社名(タイ文字への翻訳は弊社が行います)
- 会社の登記住所(コンドミニアムは登記不可です)
- 必要に応じて会社印のロゴの作成(ロゴ無し社名のみでも可)
- 登記資本金(日本人を雇用する場合は1名あたり200万バーツの登記が必要)
- 事業内容(タイ語への翻訳は弊社が行います)
- 会社の決算期(多いのは12月末と4月末ですがいつでも可)
- 会計監査人の氏名及び免許番号(とりあえず弊社推薦の監査人で後から変更でも可)
- 発起人(最低でも自然人3名が必要で、1名につき最低1株の保有が義務。※設立後に譲渡可)
- 株主(法人・個人は問わないが最低3名必要。※発起人も自動的に株主になるが設立後に譲渡可)
- 取締役(取締役が複数の場合、署名権の持たせ方を自由に設定可能)
- 発起人・株主・取締役になる人の身分証明書の写し
- 発起人・株主・取締役になる人の住所と電話番号
- タイ人株主(法人)の会社謄本の写し
- タイ人株主(法人・個人)の預金残高証明書の原本(出資金額相当の額を証明)
- 登記予定地(事務所)の土地建物登録証の番号
- 登記予定地(事務所)の周辺地図
タイ法人の設立フロー
上記の書類や情報が揃ったら下記の流れで会社設立登記を進めます。また、弊社では下記の全ての手続きを1パックとしてサービス提供しております。
- 新設会社の会社名の重複調査及び予約
- 上記必要書類や情報をもとに申請書類一式を作成(会社印も同時に作成)
- 設立登記の申請
- 設立完了(不備がなければ申請と同日内に登記が完了します)
- VAT事業者登記(設立登記と同時に手続きをします)
- 新設法人の銀行口座開設(サイン権限者様のご同行が必要です)
- 社会保険登記